ポワズイユ流の非定常解


poiseuille
前回の定常解の導出において、解は初等的な積分で導出できた。しかし非定常解を求めるには一工夫が必要だ。
$$\frac{\partial u}{\partial t} = \frac{\Delta p}{\rho l} + \frac{\mu}{\rho} \frac{\partial^2 u}{\partial y^2}$$
の右辺第一項がない斉次方程式は、拡散方程式と呼ばれており、Fourier変換を行うか、あるいは変数分離解を仮定することなどにより求められる。

斉次方程式の解の導出

では、まずは斉次方程式

$$\frac{\partial \tilde{u}}{\partial t} – \frac{\mu}{\rho}\frac{\partial^2 \tilde{u}}{\partial y^2} = 0 $$

の解を求める。\( \tilde{u}(y,t) := \tilde{Y}(y) \tilde{T}(t) \)とし、変数分離解を求める。

$$\frac{1}{\tilde{T}}\frac{d \tilde{u}}{d t} = \frac{\mu}{\rho}\frac{1}{\tilde{Y}}\frac{d^2 \tilde{Y}(y)}{dy^2} = -C_0$$

とする(境界条件を満たす解が存在するよう、符号を選んだ。)と、

$$\begin{eqnarray}
\begin{cases}
\frac{\tilde{T}(t)}{dt}=-C_0\tilde{T}(t) \Longrightarrow \tilde{T}(t) \propto \exp (-C_0 t)\\
\frac{d^2 \tilde{Y}(y)}{dy^2} = -C_0 \frac{\rho}{\mu}\tilde{Y}(y) \Longrightarrow \tilde{Y}(y) \propto \sin \left(\sqrt{C_0\frac{\rho}{\mu}}y\right)
\end{cases}
\end{eqnarray}$$

と表される。

非斉次項による境界条件の変化

通常、ここで境界条件を課すことで解を満足する\(C_0\)を求めることができる。しかし今回の場合は斉次方程式の解を求める際に右辺第一項があるせいで境界条件を適用できず、\(C_0\)の条件を求められない。
そこで、右辺第一項は\(0 < y < d\)においてのみその値を持ち、\(y=0,\ d\)においてはゼロとなる関数へと変えてしまえば\(y=0, d\)で\(\tilde{u}(y,t)=0\)という境界条件を、斉次方程式に対して与えられる。

すると、\(\sqrt{C_0\frac{\rho}{\mu}}=\frac{n\pi}{d}\)となる。ところで、今回は境界条件より、解は\(y=0, d\)においてゼロとなり、かつ、与式は\(y=1/2\)において対称となっている。つまり、斉次方程式を解を導出するという議論は不要であり、解はFourier級数展開を用いて\( u(y,t)=\sum_{n=1}^\infty T_n(t)\sin \left(\frac{n\pi}{d}y\right) \)の形で表されることは明らかである。

境界条件を満たせる関数は右辺第一項は展開係数\(f_n\)を用いて
$$ \frac{\Delta p}{\rho l} = \sum_{n=1}^\infty f_n \sin\left(\frac{n\pi}{d}y\right)$$
とFourier級数展開で表されることがわかる。展開係数は\( \sin\left(\frac{m\pi}{d}y\right) \)をかけて\(0\rightarrow d\)の範囲で積分することで求められ、

$$f_n=\frac{2}{m\pi}\frac{\Delta p}{\rho l}\{1-(-1)^n \}$$

となる。最後に、これらを非斉次方程式に代入して、

$$
\sum_{n=1}^\infty \frac{\partial T_n(t)}{\partial t} \sin\left(\frac{n\pi}{d}y\right) = \sum_{n=1}^\infty f_n \sin\left(\frac{n\pi}{d}y\right) – \sum_{n=1}^\infty \frac{\mu}{\rho}\frac{n^2\pi^2}{d^2} T_n(t) \sin\left(\frac{n\pi}{d}y\right)
$$
直交性より、
$$
\frac{\partial T_n(t)}{\partial t} = f_n – \frac{\mu}{\rho}\frac{n^2\pi^2}{d^2} T_n(t)
$$
右辺全体を\(\tau_n\)と変数変換すれば
$$
\frac{\partial \tau_n(t)}{\partial t}=-\frac{\mu n^2\pi^2}{\rho d^2}\tau_n(t)
$$
となり、
$$
\tau_n(t)=C_{1n} \exp\left(-\frac{\mu n^2\pi^2}{\rho d^2} t \right)
$$
で表される。\(t=0\)において\(T_n=0\)とすると、積分定数は\(C_{1n}= f_n\)と決定され、\(T_n(t)\)は
$$
T_n(t)=f_n\frac{\rho d^2}{\mu n^2\pi^2}\left( 1- \exp\left( -\frac{\mu n^2\pi^2}{\rho d^2} t \right) \right)
$$
となる。まとめると、一般解は
$$
u(y,t)=\sum_{n=1}^\infty f_n\frac{\rho d^2}{\mu n^2\pi^2}\left( 1- \exp\left( -\frac{\mu n^2\pi^2}{\rho d^2} t \right) \right)\sin \left(\frac{n\pi}{d}y\right)
$$
で表される。最後に、\(f_n\)は、\(n\)が奇数の場合のみ値を持つ。そのため、整数\(m\)を用いて\(n=2m-1\)と置き直し、\(m\)を\(n\)で書き直すと
$$
u(y,t)=\sum_{n=1}^\infty \frac{4 d^2\Delta p}{\mu l(2n-1)^3\pi^3} \left( 1- \exp\left( -\frac{\mu (2n-1)^2\pi^2}{\rho d^2} t \right) \right)\sin \left(\frac{(2n-1)\pi}{d}y\right)
$$
となる。

検証

定常解との比較

今回の解の正しさを検証する。まず、\(t\to\infty\)としたときに定常解と一致するかを調べる。前回の導出の結果を、Fourier級数展開して比較を行う。
$$u(y)=-\frac{\Delta p}{2\mu l}y(y-d)=\sum_{n=1}^\infty g_n\sin \left(\frac{(2n-1)\pi}{d}y\right)$$
展開係数\(g_n\)は、
$$
\begin{eqnarray}
g_n&=&-\frac{2}{d}\int_0^d \frac{\Delta p}{2\mu l}y(y-d)\sin \left(\frac{(2n-1)\pi}{d}y\right)dy\\
&=&\frac{4 d^2 \Delta p }{\mu l (2 n-1)^3\pi^3}
\end{eqnarray}
$$
これは、今回の導出結果
$$
u(y,t\to\infty)=\sum_{n=1}^\infty \frac{4 d^2\Delta p}{\mu l(2n-1)^3\pi^3} \sin \left(\frac{(2n-1)\pi}{d}y\right)
$$
と一致していることが確認できた。

時間発展

この解はどのような時間発展をするのかを観察するため、平均速度\(\bar{u}(t):=\frac{1}{d}\int_0^d u(y,t) dy\)を求めると、
$$
\bar{u}(t)=\sum_{n=1}^\infty \frac{8 d^2\Delta p}{\mu l(2n-1)^4\pi^4} \left( 1- \exp\left( -\frac{\mu (2n-1)^2\pi^2}{\rho d^2} t \right) \right)
$$
となる。

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